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国際離婚の場合、日本で離婚の調停、裁判手続を利用できるかどうか、国際裁判管轄の問題をまずは考えてみる必要があります。
日本に国際裁判管轄があり、日本で裁判できる場合でも、場合によっては、外国籍の配偶者の本国などで裁判をする方が得策といえる場合もあるかもしれません。
そこで、日本で離婚の調停、裁判手続を利用することができる場合にも、本当に日本で離婚の裁判をするのが望ましいのかについて、考えてみる必要が出てきます。
日本で裁判するのが望ましい場合とは、たとえば、日本に財産があり、配偶者も日本で仕事を継続し、日本に住み続ける見込みがあるような場合です。
具体的には、日本人妻がオーストラリア人の夫と結婚して、日本に居住し、小学校に通う子どもが1人おり、財産も全て日本にあるような場合で、夫も妻も日本に今後も住み、夫は仕事も日本で継続する、というようなケースです。
この場合、財産分与、養育費の取り決めをしても、支払われる可能性が高いといえる場合が多く、調停、裁判の手続を進めていけばよいといえます。
また、財産の一部は外国にあったとしても、離婚だけできれば良いという場合であれば、日本で手続を進めることはよいかもしれません。
しかし、たとえば、財産分与の対象となる財産の全部が外国にある場合、日本の離婚手続で財産分与について認められたとしても、夫が任意に分与しない場合、外国で日本での財産分与に関する離婚判決等が執行ができるのか、実際に財産を得られるのか、といった問題もあります。
子の養育費の算定基準が配偶者の本国法の方が高いかもしれません。
養育費については、たとえば外国の裁判所で取り決めた場合の方が手続が簡易な場合もあるでしょう。
仮に日本で養育費について取り決めたとしても、外国で養育費の不払いの場合、外国の裁判所で執行判決を得る必要がある場合など、手続が複雑になる場合もありえます。
そこで、具体的に、どのような場合に日本で離婚をした方がよいのかについて、項目ごとに検討していきます。
日本の裁判所での財産分与
外国裁判所での手続の特徴
くわしくは、下記をご覧ください。
日本の離婚制度
日本では、裁判所の関与なしの、協議離婚の制度が認められています。
協議離婚ができなかった場合に、裁判離婚の前に夫婦関係調整調停(調停)が前置となっています。
相手が国外にいても代理人弁護士の調停出席により、調停に代わる審判の手続で離婚が可能な場合あります。
裁判上の離婚にあたっては、離婚原因が必要とされています。
外国の離婚制度の特徴
外国では、裁判所の関与なしの離婚が認められている場合は、比較法的に少ないです。
アメリカ、イギリス。、オーストラリアでは、裁判所の関与が必要です。
これらの国には、無過失離婚の制度(No fault divorce)が認められており。一定期間の別居機関で離婚できることになります。
日本での養育費請求
外国で成立した養育費支払い判決
日本
現在は単独親権制度ですが、令和8年5月までに、共同親権について選択できる法改正が施行される予定です。
なお、日本の法制度が適用されるのは、日本法が準拠法になる場合ですので、外国法が準拠法になる場合は、日本の裁判所の手続きにおいても、外国法で共同親権制度が採用されていれば、共同親権となりますので、ご注意ください。
外国
共同親権の制度の国においては、共同親権となります。
外国で国によっては、母親が親権者になれないという国もありますが、日本では公序良俗違反として、外国法のもとでの親権者の取り決めが認められないおそれもありますので、ご注意ください。
※子が日本に居住している場合、外国の裁判所には、親権について管轄がないとして外国の裁判所では、親権について判断がされない場合もありますので、ご注意ください。
日本の手続
日本では、不貞行為・暴力の場合などに、慰謝料請求が可能です。金額はケースバイケースですが、100万円~300万円の範囲で、認められるケースが多くあります。
外国での慰謝料請求
英米などのコモンローの国などで、無過失責任(No Fault Divorce)の制度の国では、離婚に伴う慰謝料請求は認められないと考えられます。
外国の裁判所で、日本法が準拠法となる場合には慰謝料請求が認められる余地があると考えられますが、外国の裁判所で手続した場合、慰謝料は期待できないこともありますので、注意が必要です。
日本の年金制度
外国での手続
日本の制度
日本法のもとでは、離婚後扶養は、財産分与額が少なく、高齢で稼動が困難な場合など、限られた場合にのみ認められます。
外国での制度
広く離婚後扶養を認めている国もあります。国により異なります。
日本国内で配偶者や子どもが居住している場合、日本に財産や年金記録がある場合には、日本の家庭裁判所で調停や審判による離婚手続きを進めることで、強制執行により実効性を確保しやすいことになります。
これらの場合には、日本の裁判所で離婚の手続をしたほうがよい場合といえるでしょう。
他方、長期で外国に在住しており主な財産が外国にある場合、外国の法律で離婚した場合の方が有利である場合(離婚後扶養。共同親権、無過失離婚の制度などm)、外国で離婚の手続をすることも考えられます。
ただし、外国で離婚をした場合であっても、日本国内に財産がある場合、年金分割を日本でする必要がある場合、日本で養育費を請求する必要がある場合などには、日本の裁判所で手続を行う必要がありますので、注意が必要です。