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グローバル家族法コンシェルジュ
弁護士法人キャストグローバル東京事務所(担当弁護士 水内麻起子)
〒105-6234 東京都港区愛宕2丁目5番1号
愛宕グリーンヒルズMORIタワー34階
営業時間 平日 9:00~18:00
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夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担することになっています(民法760条)。
この婚姻から生ずる費用が、婚姻費用です。
婚姻費用には夫婦間の未成熟子(経済的に独立して生活費を自分で得ることができない子)の生活費も含みます。具体的には、衣食住の費用、医療費、教育費、相当の娯楽費用も含まれます。
婚姻費用について協議で合意ができないときには、家庭裁判所に対して調停を申立てることができます。
調停が不調になった場合、手続は自動的に審判に移行し、裁判官が、額を決定します。
調停については、夫婦関係調整調停と婚姻費用分担調停をあわせて申立てることもできます。また、婚姻費用分担調停を単独で申立てることもできます。

養育費と同様に、婚姻費用についても、標準算定表を用いて、婚姻費用が算定されています。
算定表で算定できない場合(たとえば、相手が再婚して、新たに生まれた子を扶養している場合など)には、個別に計算することになります。
くわしくは、「算定表にない婚姻費用・養育費の計算」をご覧ください。

婚姻費用について、簡易算定表に基づいて請求する場合においても、相手方(夫)の収入算定にあたり、たとえば、相手方が自営業者の場合、どの金額を収入とみるかについて、法律的な判断が必要になります。
婚姻費用について、調停で話し合いがまとまらない場合には、審判で裁判官が決めることになります。その場合には、証拠書類を提出し、書面で婚姻費用の請求について主張しなければなりません。
そういった場合、法律的な知識が必要となり、弁護士に依頼する必要性があるといえますので、弁護士に依頼されることをお勧めいたします。

気を付けなければならないのは、婚姻費用分担請求は、有責配偶者(不貞行為をした配偶者など)からの婚姻費用の請求の場合、有責配偶者の分については、請求は認められない状況にある点です。有責配偶者が監護する未成熟子の生活費については、認められています。
住宅ローンについては、婚姻費用の権利者が義務者の居住する住宅ローンを支払っている場合、義務者が権利者の居住する住宅ローンを支払っている場合には、公平の点から、婚姻費用の算定にあたって、考慮されます。
令和8年5月までに、婚姻費用についての、次のような法律改正が施行される予定です。

別居中の婚姻費用の分担についての調停・審判事件において、家庭裁判所が当事者の収入や資産などの情報開示を命じることができるようになります。
正当な理由なく開示しない、または虚偽の開示をた場合、10万円以下の過料が課せられることになります。

婚姻費用についても、養育費と同様に、一度の申し立てで①財産開示手続、②第三者情報取得(勤務先など)、③給与差押え手続までを一括で進められる制度が導入されます。
債務者が開示を拒否した場合、裁判所は債務者の住所のある市町村、年金機構等に対して勤務先や所得に関する情報提供を命じることができるようになります。